太刀たち

大太刀 法光(おおだち のりみつ)

岡山県指定重要文化財
1447(文安4)年
岡山市 吉備津神社

全長377.3cm.刃長226.7cm.重量約13kgもある全国最大級の大太刀。法光は室町時代の備前刀長船派の刀工で、これだけの大作を鍛えあげた技量は驚嘆に値する。奉納刀とする意見もあるが、刀身には丁子乱れ(ちょうじみだれ)に互(ぐ)の目乱れを交えた刃文がしっかりと焼き入れされていることや、茎(なかご)が刀身に合わせて長く作られていることから、実戦刀と考えられる。在地武士の薬師寺弥五郎久用(やくしじやごろうひさもち)により、奉納されたものである。

  • 銘(めい)
  • [表] 備前長船法光 生年三十三 文安四年八月日
  • [裏] 薬師寺弥五郎久用 生年廿一歳

大太刀 法光

大太刀 法光
岡山県指定重要文化財
1447(文安4)年
岡山市 吉備津神社

大太刀 銘備州長船秀幸(おおだち めいびしゅうおさふねひでゆき)

岡山県指定重要文化財
1459(長禄3)年
岡山市 吉備津神社

秀幸は室町時代の備前刀工で、小反(こぞり)派と称される一人鍛冶といわれるが、全長202.0cm.刃長127.2cmもあるこの大太刀を鍛えた技量は見事である。よく鍛えられた地鉄に、丁子乱れ(ちょうじみだれ)に互(ぐ)の目を交えた刃文を焼いている。棟や刃に、数か所の傷や刃こぼれがあって、実戦に使用されたことがわかる。

また、製作当時の鉄鎺(はばき)が附属するのも貴重である。羽柴秀吉による1582(天正10)年の備中高松城水攻めの際に切腹した清水宗治が、生前に奉納したものと伝わる。

  • [表] 備前長船秀幸
  • [裏] 長禄三年八月日

大太刀 銘備州長船秀幸

大太刀 銘備州長船秀幸
岡山県指定重要文化財
1459 (長禄3)年
岡山市 吉備津神社

大太刀 無銘(おおだち むめい)

1588(天正16)年
岡山市 吉備津神社

全長264.3cm·刃長170.6cmの、全国でも有数の大太刀である。刀工銘が無いため作者はわからないが、長大な刀身をむら無く鍛えあげていることや、「蟹の爪」と呼ばれる華やかな丁子乱れ(ちょうじみだれ)の刃文から、備前刀長船派の名工の手になるものと思われる。刀身には、重量を軽減するための樋と、表に阿弥陀如来・普賢菩薩、裏に不動明王・観世音菩薩を表す梵字が彫られている。奉納した笠原興勝は、備前または備中の武将と考えられる。

  • [表] 笠原興勝献進上之申
  • [裏] 天正十六年戊子二月吉日

大太刀 無銘

大太刀 無銘
1588(天正16)年
岡山市 吉備津神社

大太刀 長吉(おおだち ながよし)

1667(寛文7)年
岡山市 吉備津神社

この大太刀は、肥前国(佐賀県)島原藩主の高力高長(こうりきたかなが)が奉納したものである。高長は、全国各地の有名な社寺に、これとほぼ同形同大の大太刀を奉納しており、現在のところ二十三か所で確認されている。作者の長吉は、三河(愛知県)の刀工である。現在、刀身は錆身(さびみ)となっているが、直刃(すぐは)の刃文が確認できる。また、奉納刀のためか、刃は付いておらず、目釘穴も無く、仕上げ研ぎが施されていない。全長160.7㎝・刃長114.0cm

  • [表] 三州高力住長吉作
  • [裏] 寛文七未丁年三月吉日
  • 刀身銘
  • [表] 奉進納備中国吉備津宮大明神御寶前
  • [裏] 高力左近太夫平朝臣高長敬白

付属する拵え(こしらえ)は黒漆家紋蒔絵合口太刀拵えで、高力家の家紋「丸に鳩文字」紋と、先祖にあたる能谷家の家紋「蔦」紋で飾られている。

大太刀 長吉

大太刀 長吉
1667(寛文7)年
岡山市 吉備津神社

その他 吉備津神社に伝わるもの